第14話・2026.09.12
彼女の物語の中で、私は「母の知人」だった。
少女執筆伝説。——なお、先生は「母の知人

彼女の物語の中で、私は「母の知人」だった。
もう一人の、書き手
先に種明かしをすると、この連載にはしばらく前から「もう一つの視点」が存在している。
彼女が、自分で note を書き始めたのだ。
名義は「ど素人JK」。この連載と同じ名前で、彼女自身が、彼女の側から見た アプリ作りの一部始終を書いている。8月の下旬から、ほぼ毎日である。
きっかけは授業だった。書き方の練習をして(その顛末はまた別の回に書く)、 気づいたら私より速いペースで書き続けている。
第1話を読んで、笑った
彼女の第1話のタイトルは、こうだ。
「お金持ちになりたい!だけで生きてきた私が突然アプリを作ることになりました。」
そして本文の中で、私はこう紹介されている——「母の知人」。
この連載で13話にわたって「先生」と名乗ってきた人物は、彼女の物語では母の知人である。
正しい。ぐうの音も出ないほど正しい。彼女から見た事実は、そういうことなのだ。

同じZoom、同じ授業、同じアプリの話が、向こう側からはまるで違う景色で書かれている。 私が「彼女は5日で公開した」と書いた出来事を、彼女がどう書くのか。 私が「危機一髪」と書いた夜を、彼女は覚えてすらいないかもしれない。

答え合わせは、読者の仕事にしたい。
▶ 彼女の連載はこちら:
始める前に、決めたこと
ひとつだけ、大人側の話をしておく。
彼女の発信を始める前に、保護者の方と確認したことがある。 学校の校則に営利活動の制限がないか。アカウントを本人名義で作ってよいか。 実名・学校名・地域を出さない運用でよいか。
全部、確認してからのスタートである。
「若いうちから発信するといい」という話は簡単だが、 未成年の発信は、守りを固めてから開くものだと思っている。 この連載が扉に鍵をかけてから公開したのと、同じ理屈である。

物語は、増殖する
手書きの紙4枚がアプリになった。 アプリは公開されて、仕組みになった。 そして今度は、その一部始終そのものが、彼女の書く物語になった。
作る側になり、書く側になった。 2年間「お金持ちになりたい」と言っていた女子高生の現在地である。
私はといえば、「母の知人」という正式な役職をいただいたので、 引き続き母の知人として、隣で記録を続けることにする。
次回——18回しかないアプリの、初めてのユーザーテスト。 最初のユーザーは、意外な人物である。
この連載は、実在する女子高生の学習過程を、本人・保護者の同意のもと個人が特定されない形で記録しています。会話は意味を変えない範囲で整理しています。本人による発信も、本人・保護者との合意のもとで行われています。
(第14話・了)