第11話・2026.10.22
平均寿命で老後のお金を計算すると、半分以上の人はお金より長生きする

老後のお金を「月いくら」に直す(11)
平均寿命で老後のお金を計算すると、半分以上の人は、お金より長く生きることになります。
夫婦なら、夫の年数だけで計算すると、妻の9年分が抜け落ちます。
男性の平均寿命は81歳。でも、ちょうど真ん中の人は84歳まで生きています。女性は90歳です。
女性の2人に1人は、90歳の誕生日を迎えます。
今回は、老後のお金を「何年分」用意するかを、3つの式で直します。
式1 寿命の真ん中 − いまの年齢 = お金を用意する年数
寿命の真ん中(男84歳・女90歳)− いまの年齢 = 老後のお金を用意する年数
根拠
平均寿命は、生まれた人が平均で何年生きるかの数字です(男81.35年・女87.33年・令和7年簡易生命表・厚生労働省)。
一方で、生まれた人のちょうど半分が生きている年齢を「寿命中位数」と呼びます。令和7年は男84.13年・女90.17年で、平均寿命より約3年長くなっています。
07 の貯蓄と同じで、平均は少数の値に引っぱられます。若くして亡くなる人が平均を下げるので、真ん中のほうが長くなります。
例(65歳の人)
男性:84歳 − 65歳 = 19年
女性:90歳 − 65歳 = 25年
平均寿命で計算すると、男性は16年、女性は22年。真ん中で計算すると、どちらも3年長くなります。
- 75歳まで生きる人:男76.0%・女88.1%
- 90歳まで生きる人:男26.7%・女50.8%
- 95歳まで生きる人:男9.9%・女26.4%

自分の数字を入れる
寿命の真ん中__歳 − いまの年齢__歳 = __年
式2 夫婦の長いほうの年数 = 家として用意する年数
夫の年数と妻の年数のうち、長いほう = 家として老後のお金を用意する年数
根拠
夫婦では、2人のうち長く生きるほうが、最後まで暮らします。
06 で見たように、年金は2人ぶんから1人ぶんに減っても、家賃や光熱費は半分になりません。
真ん中の年齢は、女性のほうが6年長く、妻が年下なら、その差はさらに広がります。
例(夫65歳・妻62歳)
夫:84歳 − 65歳 = 19年
妻:90歳 − 62歳 = 28年 → 家として用意する年数は 28年
冒頭に書いた「妻の9年分」は、この差です。夫の年数だけで割ると、最後の9年はお金がない計算になります。
自分の数字を入れる
夫__年・妻__年 → 長いほう__年
式3 貯蓄 ÷(年数 × 12)= 毎月使える額
老後に使う貯蓄 ÷(用意する年数 × 12か月)= 毎月使える額
根拠
年金で足りない分を貯蓄から取り崩すとき、何年で割るかで、毎月使える額が変わります(運用で増える分と、物価で目減りする分は入れていません)。
例(貯蓄1,000万円)
65歳から85歳まで(20年):1,000万円 ÷ 240か月 = 月約4万2千円
夫婦で28年:1,000万円 ÷ 336か月 = 月約3万円
65歳から95歳まで(30年):1,000万円 ÷ 360か月 = 月約2万8千円
同じ1,000万円でも、何年で割るかで、毎月の額は1万円以上変わります。
02 で計算した、年金暮らしの毎月の不足は約4万2千円。1,000万円で埋められるのは、20年(85歳まで)です。95歳までなら、毎月1万4千円足りません。

自分の数字を入れる
貯蓄__万円 ÷(__年 × 12)= 月__万円
何歳まで生きる前提で、計算していますか
Threadsで「何歳まで生きる前提で、老後のお金を計算していますか」と聞いたら、こんな返信が届きました。
- 親が100歳まで生きたので、93歳まで
- 正直、計算していない
- 年数より、施設や医療、家電の買い替えなどの「+α」が心配
1つ目の人は、平均寿命ではなく、自分の家の長さで年数を決めていました。
2つ目のように、計算していない人もいました。何歳まで生きるかは誰にも分からないので、決めにくい数字です。
年金の受け取りを遅らせる話を書いたときも、寿命の声が続きました。
- 何歳まで生きるか分かれば、答えがすぐ出るのに
- 85歳まで生きる保証はない
- 平均寿命までに、約半分の人が亡くなっている
3つ目は、よくある思い違いです。半分の人が生きているのは、平均寿命の81歳ではなく、真ん中の84歳です。平均寿命の年に、まだ半分以上の人が生きています。
だからこそ、平均ではなく真ん中を使います。
真ん中より長く生きる人が、ちょうど半分いるという意味の数字だからです。
何年分を用意するか
男性の平均寿命は81歳。真ん中の人は84歳、女性は90歳まで生きています。
老後のお金は、「いくら必要か」の前に「何年分必要か」で決まります。
平均寿命で割ると、毎月の額は大きく見えます。でも、真ん中で割ると、その分だけ毎月の額は小さくなります。
お金を、人生の時間に変換する。
自分の年数を決めておくと、貯蓄の額が「毎月いくら使っていいか」に変わります。
年数を決める前に知っておくこと
- 寿命中位数は「0歳で生まれた人」の数字です。60歳・65歳まで生きた人は、もっと長く生きる人の割合が高くなります(60歳の平均余命 男23.86年・女29.07年)
- 健康で暮らせる年数(健康寿命)は、もっと短くなります。08 で計算しました
- 年金は一生受け取れますが、貯蓄は使えば減ります。長く生きるほど、貯蓄から出す額は小さくなります
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FIRE Strategy Lab | FIRE戦略シミュレーター
書いた人
年金・節約・給付金を「いくら得する?」で分解しています。
Threads(@nagara_takumi)で毎日、大きな数字を「月いくら」に直しています。
投資歴22年・エンジニア歴20年の会社員です。
https://www.threads.com/@nagara_takumi
出典
- 厚生労働省「令和7年簡易生命表の概況」平均寿命 男81.35年・女87.33年/寿命中位数 男84.13年・女90.17年/65・75・90・95歳まで生きる人の割合/60歳・65歳の平均余命
- 02 の毎月の不足(約4万2千円)・06 の夫婦の年金・07 の平均と真ん中は、このマガジンの各回の出典を参照
注意
- 寿命の数字は、その年の死亡の状況が続くとした場合の値です。一人ひとりの寿命を示すものではありません。
- 式3は、運用での増減と物価の変化を入れていない、単純な割り算です。
- 学習用の計算です。将来の成果を保証するものではなく、特定の金融商品の推奨ではありません。
- 制度と統計の数字は変わります(この記事は2026年10月時点)。