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老後のお金を「月いくら」に直す

第8話・2026.10.16

年金を60歳で受け取ると、一生24%減りました

老後のお金を「月いくら」に直す(8)

年金を60歳から受け取ると、一生24%減ったままです。
あとから取り消すことはできません。

でも、65歳から受け取った人に総額で追いつかれるのは、80歳10か月でした。
男性の平均寿命(81.35歳)の、すぐ手前です。

早く受け取るか、長生きに備えるか。
今回は、年金を受け取り始める年齢を「何年」に直す3つの式です。

式1 0.4% × 早めた月数 = 一生減る割合

0.4% × 早めた月数 = 年金が一生減る割合

根拠

年金は65歳から受け取るのが基本で、60歳から早めて受け取ることもできます(繰上げ受給・日本年金機構)。

  • 1か月早めるごとに、0.4%減る(昭和37年4月2日以降に生まれた人)
  • 60歳から受け取ると、60か月早めるので24%減る
  • 減った割合は、一生そのまま
  • 一度請求すると、取り消せない

例

0.4% × 60か月 = 24%
満額 月7万608円 × 0.76 = 月5万3,662円

1か月あたり1万6,946円、1年で約20万円少なくなります。

  • 61歳から:19.2%減る
  • 62歳から:14.4%減る
  • 63歳から:9.6%減る
  • 64歳から:4.8%減る

自分の数字を入れる

0.4% × 早める月数__か月 = __%減る → 年金の月額__万円 ×(1 − __%)= 月__万円

式2 受け取り始めた年齢 + 20年10か月 = 総額で追いつかれる年齢

繰上げで受け取り始めた年齢 + 20年10か月 = 65歳から受け取った人に総額で追いつかれる年齢

根拠

早めた人は、少ない額を長く受け取ります。
65歳から受け取った人は、多い額を短く受け取ります。
2人の受け取った総額が同じになる年齢が、分かれ目です。

計算してみると、何か月早めても、分かれ目は「受け取り始めてから20年10か月後」になりました。
1か月あたりの減り方(0.4%)が、いつも同じだからです。

例

60歳から受け取った場合:60歳 + 20年10か月 = 80歳10か月
62歳から受け取った場合:62歳 + 20年10か月 = 82歳10か月

逆に、65歳より遅らせると1か月ごとに0.7%増えます(繰下げ受給)。
こちらの分かれ目は「受け取り始めてから11年11か月後」。70歳から受け取ると、81歳11か月です。

早めても、遅らせても、分かれ目は80歳を過ぎたあたりにありました。

自分の数字を入れる

受け取り始める年齢__歳 + 20年10か月 = __歳__か月

式3 健康寿命までに受け取る額

年金の月額 × 12か月 ×(健康寿命 − 受け取り始める年齢)= 元気なうちに受け取る年金

根拠

健康寿命(介護などを受けず、日常生活に制限なく暮らせる期間)は、男性72.57歳・女性75.45歳です(厚生労働省・2022年)。
01 の式15では、これを「お金を自由に使える年数」として使いました。

例(男性の健康寿命72歳まで・基礎年金の満額で計算)

60歳から:月5万3,662円 × 144か月 = 約773万円
65歳から:月7万608円 × 84か月 = 約593万円

元気に使える72歳までなら、60歳から受け取るほうが約180万円多い計算です。
81歳を過ぎて長生きすると、65歳から受け取るほうが多くなります。

どちらが正しいかは、何歳まで生きるかで決まり、それは前もって分かりません。

自分の数字を入れる

年金の月額__万円 × 12 ×(健康寿命__歳 − 受け取り始める年齢__歳)= __万円

早くもらうか、長く生きるか

年金を60歳で受け取ると、一生24%減ります。
それでも、65歳から受け取った人に追いつかれるのは80歳10か月でした。

24%は、割合で見ると大きな数字です。
でも「何年」に直すと、受け取り始めてから20年10か月という、自分の人生の長さの話になります。

お金を、人生の時間に変換する。
受け取り方は、元気に使える年数と、長生きした場合の備えを、両方並べて決める数字でした。

繰上げの前に知っておくこと

繰上げは、減る割合のほかにも、変わることがあります(日本年金機構)。

  • 原則として、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)を同時に早めることになる
  • 請求した日のあとは、事後重症などによる障害年金を請求できない
  • 国民年金の寡婦年金は受け取れなくなる
  • 65歳になるまで、遺族厚生年金などとはどちらか1つを選ぶことになる
  • 国民年金の任意加入や、保険料の追納ができなくなる

自分の場合にどうなるかは、年金事務所で確かめてから決めてください。

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書いた人

年金・節約・給付金を「いくら得する?」で分解しています。
Threads(@nagara_takumi)で毎日、大きな数字を「月いくら」に直しています。
投資歴22年・エンジニア歴20年の会社員です。

https://www.threads.com/@nagara_takumi

出典

  • 日本年金機構「年金の繰上げ受給」減額率 0.4% × 繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数(昭和37年4月2日以降生まれ・60歳で24.0%)・繰上げの注意点
  • 日本年金機構「年金の繰下げ受給」増額率 0.7% × 65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数
  • 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」老齢基礎年金 満額 月70,608円
  • 厚生労働省「令和7年簡易生命表」平均寿命 男81.35年・女87.33年
  • 厚生労働省 健康寿命(2022年)男72.57年・女75.45年

注意

  • 昭和37年4月1日以前に生まれた人は、1か月0.5%の減額(60歳で30%)です。
  • 分かれ目の計算は、年金の額が毎年同じとした場合です。実際は毎年改定され、税金や保険料も引かれます。厚生年金の額や、加給年金などで変わります。
  • 繰上げ・繰下げのどちらかを勧めるものではありません。
  • 学習用の計算です。将来の成果を保証するものではなく、特定の金融商品の推奨ではありません。
  • 年金の額と制度は変わります(この記事は2026年10月時点)。
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