meirin-kan
ど素人JK、お金持ちを目指す。

第6話・2026.08.21

楽をするために、728行の仕様書を作った女子高生。

少女楽したい伝説。——なお、怠惰はプログラマーの美徳である。

楽をするために、728行の仕様書を作った人を、私は初めて見た。

「楽をしたいので、全部AIに任せます」——
そう宣言した女子高生の話である。

アプリが動いたかどうかの話の前に、どうしても書いておきたい。
話は、AIから質問が18個返ってきた、あの日に戻る。

https://note.com/nagara_takumi/n/n5691e603493c

判断基準は「楽かどうか」

18問(+5問)に答えていく途中、判断に迷う場面が何度かあった。

たとえば、課題にかかる時間を誰が見積もるか。

私「これ、どうやりたいと思います?」
JK「もう、推定させちゃっていいかな」
 「最初の目的が『楽に作りたい』だったので」
 「全部AIに任せた方が楽かなって」

デザインの方針を聞いたときも、そうだった。

私「こういう風にしたいとか、参考画像とかあります?」
JK「シンプルにしたいです。色とかも、あんまり使わない感じで」

楽をしたい。シンプルがいい。手間を増やしたくない。
2年間「お金持ちになりたい」と言い続けて動かなかった人の判断基準として、 これ以上ないほど一貫している💦

楽をしたい人ほど、いい質問をする

ところが、である。

課題の写真をアップロードする仕様のところで、
「複雑になるから、1枚でいいんじゃない」と言ったのは私だ。

JK「課題写真って、1枚の方がいいんですか?」
私「……いや、複数枚パシャパシャ撮らなあかん場合もあるか。」
 「複数枚でいいんじゃね?」
JK「それで、精度が変わるとかはないですよね?」

楽をしたいはずの人が、最後に精度の確認だけはしてくる。
彼女の基準は、ぶれていないのだ。
1枚に収めようと頑張るより、撮ったぶんをそのまま全部投げられる方が楽。
ただし、精度が落ちるならやり直しがでるので楽の意味がない。

楽の基準で、先生の判断が覆った。

時間をAIに推定させる話には、続きがある。

私「精度を上げる方法があって。」
 「初めはAIに推定させて、1回目に実際にかかった時間を入力する。」
 「3回ぐらい繰り返すと、差が縮まっていく」
JK「おお……確かに。」
 「え、じゃあ、修正とかもできるようにした方がいいですかね?」

教えたそばから、自分で仕様を足してくる。
第4話のアラートと同じ動きである。

ここで、この日いちばん大事なことを話した。

**プログラムは、同じことの繰返ししかできない。
だから、同じ計算をしてほしいとかに向いている

AIは、自己修正がかけられる。
ただし、毎回似た結果にはなるが微妙にブレる。**

だから「全部AIに任せた方が楽」は、AIアプリにおいては怠惰ではなく、 わりと本質を突いた方針なのだ。

3色あれば足りる

「シンプルに、色を使わない」にも、ルールをひとつだけ足した。

色は3色以内。黒をメインに、いいことは青、悪いことは赤。

信号と同じで、説明しなくても意味が伝わる。
カラフルにするほど「どこを見ればいいか」が分からなくなる。
これはアプリに限らず、スライド資料でも同じ——大人の仕事でもそのまま使える。

JK「確かに」

かくして「楽をしたい」は、仕様書のあちこちに埋め込まれた。
写真は1回でまとめてアップロード。推定はAIに任せて、実績で補正。
だめなら手動でも直せる。色は3色。余計な機能はつけない。

エンジニアの世界には「怠惰はプログラマーの美徳」という古い言葉があるが、 ど素人は、それを知らずにやっている。

そして、728行になった

「楽をしたい」を詰めていった仕様書は、宿題で仕上げられて、 最終的に728行になった。

楽をするために、ここまで作り込む。
——冒頭の一文は、そういうことである。

その728行をAIに渡したら何が起きたか——

その話は、次回。


この連載は、実在する女子高生の学習過程を、本人・保護者の同意のもと個人が特定されない形で記録しています。会話は意味を変えない範囲で整理しています。

(第6話・了)

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