「持家」と「賃貸」の論争は、それぞれメリット、デメリットがあるため、好みでどっちが良いかは変わってきます。
1度も「持家」を買った事のない「賃貸派」、1度も「賃貸」に住んだ事が無い「持家派」がそれぞれを批判している意見が見受けられます。
「持家」「賃貸」の両方を経験し、投資家でもあるパドレが投資家目線で解説したいと思います。
「住宅購入で悩んでいる人」や「将来に買おうかと思っている人」の参考になれば幸いです。
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「持家」「賃貸」どっちが良いか?
「持家」「賃貸」どっちが良いか?
私の答えは、その時の「経済状態(=資産)」による。最終の着地点としては、「持家」が好ましいと私は考えています。
ただ、「住宅ローン」という誰でも「低利率で、長期に、大きく」借りれるローンは、「奨学金」を除いてありません。資金調達面では、非常に魅力的です。
前回の振返り
前回は、年齢面を中心に資産をふやしつつ、持家も手に入れるモデルケースを解説しました。
- 40才頃までは「実勢家賃」より「支払家賃」の低い住居に住む(社宅、公営住宅)
- 浮いた家賃で「全世界株」か「米国株」投信で積立投資をする
- 45才までに「住宅ローン」を使って、住みたい家を買う
- 「住宅ローン」は「フルローン」で借りる
- 「現金クッション」を必ず用意する
今回は「具体的物件例」について、解説したいと思います。
なぜ、持家がよいのか?
先ず、持家のメリットの1つとしては、「住宅ローン控除」含め、色々な優遇制度を受けられるためです。住宅は波及効果が大きいので、今後も優遇は続くと思われます。
資産形成するのに補助金が出る事は滅多にありません。持家に関しては、「優遇制度」の金額が大きいので利用できると、初期費用分以上に回収できます。
大きな補助金は、「住宅ローン控除」と「すまい給付金」。
住宅ローン控除
「住宅ローン控除」は住宅ローン残高に対して、1%を控除しますというものです。令和4年12月までに居住開始すれば、消費税10%物件に関しては、13年間控除を受けることができます。令和4年12月以降は、改悪される予定と言われています。
(引用元:国土交通省 すまい給付金HPより)
次に具体的金額を参考に示します。
<前提条件>
借入金額:2500万円、利率:0.4%、借入期間:35年、年収:700万円、扶養家族:3人
<控除額>
住宅ローン控除:248万円(13年間)
ここで、注意しておかないといけないのが、控除なので税金の支払いがない場合は、メリットが得られません。
すまい給付金
「すまい給付金」は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するための制度です。収入によって給付額が変わる仕組みとなっています。
(引用元:国土交通省 すまい給付金HPより)
すまい給付金の給付額目安を下表に示します。参考にして下さい。
住宅購入の基準
一般的に投資の世界では、「価値」≧「価格」となっていれば、投資として成功と言えます。
一方で、日本の新築住宅は買った瞬間に「価格」が2割下がると言われています。
つまり、「価値」の減少を最小化するのが解の一つになります。
そもそも、「住宅の価格」は何でしょう?
住宅の価値
住宅の経済的価値は以下の3つです。
- 売却価値
- 貸出価値
- 抑制価値
1.売却価値
「売却価値」は売った時にいくらで売れるかという価値です。
「売却価値」=「土地価値」+「建物価値」ですが、日本では「建物価値」が20年も経てば、ほぼ評価されません。
従って、「再開発地域」か、「新しい集客施設」が近所に出来るなどしない限り、「売却価格」>「購入価格」となる事は期待出来ません。
「売却価値」は周辺の中古物件価格や国土交通省が出している「不動産取引価格情報検索」で調べる事ができます。
「持家」の特典としては、3000万円までの利益控除があるという点です。
この特典を利用して、中古物件に住みながらリフォームして、自宅を売却する「ヤドカリ投資」という手法もあります。
2.貸出価値
「貸出価値」は他人に貸出した時にいくらで貸せるかという価値です。
「貸出価値」=「貸出金額」x「物件が朽ちるまでの年数」
貸出金額は「建物面積」x「駐車場数」x「場所の利便性」x「築年数」で評価され、周辺家賃を見れば分かります。
転勤等で「持家」に住めなくなった時に、貸出しして借主に「残債」を返済して貰えます。貸出しする場合は、住宅ローンから利率が変わりますので、注意が必要です。
3.抑制価値
「抑制価値」は、同水準の住居を借りた時の「実勢家賃」と「ローン返済額」との差分の価値。つまり、「持家」にする事で抑えられた価値です。
加えて、「住宅ローン」には団信(団体信用生命保険)の申込みがセットになります。これは、借入者が死んだ時に住宅ローン返済が終了し、家が家族のモノになるという制度です。
従って、相続税対策が必要な大金持ち以外は一般の生命保険が不要になります。
「抑制価値」=「実勢家賃」-「ローン返済額」+「生命保険料」で表されます。
しかしながら、「貸出価値」と「抑制価値」から毎年キャッシュを得て、「売却価値」>「残債」となれば、売れば儲かります。
結局、どんな家を買ったらいいのか?
次に、具体的にどんな家を買ったら、良いのかを考えていきたいと思います。
一言で言うと、賃貸で数が少ない物件です。
一例を挙げると、以下の住居です。
- 建物面積70m2以上
- 駐車場2台
- 庭付き戸建て
- 人口20万人以上都市
- JR駅30分以内で行ける(バス可)
建物面積70m2以上
建物面積60m2以下の家はアパートでも多いですが、70m2以上になると供給が一気に減ります。60m2以下だと、4人家族ではやや狭いので需要はあります。
住宅ローンが40m2以上から使えるので、中古住宅として一般人に売るという出口もあります。
駐車場2台
関東圏、関西圏、県庁所在地以外は基本的に車社会です。出勤するために家に2台という家庭が多いです。家に1台だけでも、親や友達が駐車出来るというのは、優位性が出ます。
庭付き戸建て
戸建ては管理費、修繕積立金を自分のペースで貯めれます。マンションだと強制徴収です。
修理、建替、平地化等も他者の許可は要りません。子供やペット、音楽で気を使う必要も減ります。
小さくても庭付きで有れば、家庭菜園が出来る、ペットが飼える等差別化出来ます。
人口20万人以上都市
人口20万人以上の都市だと、中核都市制度というものが有り、行政の手続きが市内で完結出来るようになっている都市もあります。また、徒歩圏内で生活用品が揃えられます。
これから人口減少が更に進んでも、周囲の市を取り込み、コンパクトシティ化で逆に増える可能性があります。
JR駅30分圏内
JR駅があり、駅まで30分で行けるのは通勤での利便性があり、競争力になります。通勤や通学で電車を使う層を取り込める可能性があります。
まとめ
- 持家を買う時は、「いつでも買い手がいる」「いつでも借り手がいる」価値の落ちにくい物件を買う
- 住宅の価値は「売却価値」「貸出価値」「抑制価値」で考える
- 賃貸需要の高い物件の一例は、「建物面積70m2以上」「駐車場2台」「庭付き戸建て」「人口20万人以上都市」「JR駅30分以内で行ける(バス可)」